クイックチェッククリニック

HIV感染症

HIVとエイズ(AIDS)の違い

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とは、1980年代に発見されたウイルスで、体内の免疫細胞を破壊し、徐々に免疫力を低下させる性質があります。

一方、エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)とは、HIV感染によって免疫力が著しく低下し、さまざまな感染症や腫瘍などを発症した状態のことを指します。

現在は、HIV感染者がエイズを発症しないように抑える抗HIV薬(ART:抗レトロウイルス療法)が開発され、かつて“死の病”と恐れられたHIVも、適切な治療で健常者とほぼ同等の寿命を保てる慢性疾患と認識されています。

世界と日本における現状

1981年に最初のエイズ症例が報告されて以来、HIVは世界中に広がり、2023年には約130万人が新たに感染、約63万人がエイズ関連疾患で死亡したと報告されています(国連エイズ合同計画:UNAIDSより)。

日本国内では、2023年の新規報告件数が960件と、7年ぶりに増加へ転じました。
内訳は、HIV感染者669件、エイズ患者291件です(厚生労働省エイズ動向委員会)。
また、感染に気づかずエイズを発症して初めて診断されるケースが全体の約3割を占め、検査の重要性が改めて指摘されています。

HIVの感染経路

HIVは感染力が強いウイルスではなく、握手・会話・咳・汗・入浴・回し飲みなどの日常生活で感染することはありません。
主な感染経路は次の3つに限られます。

① 性的接触による感染

HIVは血液・精液・膣分泌液などに多く含まれ、相手の粘膜(性器・肛門・口など)や傷口を通じて感染します。
コンドームを正しく使用することで高い予防効果が得られます。

② 血液を介した感染
  • 注射針・注射器の使い回し
  • 違法薬物の回し打ち
  • 医療従事者の針刺し事故

などによって感染することがあります。

③ 母子感染

妊娠中・出産時・授乳によって母親から子へ感染する場合があります。
ただし、抗HIV薬の服用と母乳を避ける対応により、感染をほぼ完全に防ぐことが可能です。

HIV感染からエイズ発症までの経過

HIV感染症は以下の3つの段階を経て進行します。

  • ① 感染初期(急性期) 感染後数週間で、発熱・頭痛・筋肉痛などの風邪やインフルエンザに似た症状が出ることがあります。
    この時期、血液中でウイルスが急激に増殖しますが、免疫機能が働き、一時的に症状が消えます。
  • ② 無症候性キャリア期(感染後 数年〜十数年) 症状がなく、健康な状態が長期間続く時期です。
    しかし体内ではHIVがゆっくりと増え続け、免疫細胞(CD4陽性リンパ球)が減少していきます。
    この時期に検査を受けなければ感染に気づくことはできません。
  • ③ エイズ期(発症期) 免疫力が著しく低下し、日和見感染症と呼ばれる通常では発症しない感染症や腫瘍が現れます。
    代表的な疾患:
    • ニューモシスチス肺炎
    • 口腔カンジダ症
    • カポジ肉腫
    • 結核、トキソプラズマ脳炎など
    免疫細胞が減るほど感染症は重症化しやすく、命に関わることもあります。

HIV・エイズの治療

HIVの治療は、全国にあるエイズ診療拠点病院(約370〜380施設)で行われています。
主な治療はART(抗レトロウイルス療法)と呼ばれるもので、3種類以上の抗HIV薬を組み合わせて服用し、体内のウイルス量を検出不可能なレベルまで抑えます。

この治療の効果:
  • 通常の生活を長期にわたって維持
  • エイズの発症予防
  • 他者への感染リスク低下

ただし、完治ではないため、生涯にわたる服薬が必要です。
早期に治療を開始することで、自身の健康を守るだけでなく、二次感染の予防にもつながります。

HIV・エイズの検査方法

血液検査でHIV抗体の有無を調べます。
HIVに感染してから抗体が作られるまでに約6〜8週間かかるため、感染の可能性がある行為から8週間以上経ってからの検査が適切です。
検査は以下の2段階で行われます。

スクリーニング検査(一次検査)

陽性の場合でも、偽陽性の可能性があるため、必ず次の確認検査を実施します。
※即日結果がわかる迅速検査もあります。

確認検査(二次検査)

この検査で陽性が確認されると、HIV感染が確定します。
結果が出るまでには通常1週間前後かかります。

まとめ

HIVに感染しても、早期発見と継続的な治療でエイズの発症を防げます。
自覚症状がない期間が長いため、定期的な検査が最も重要です。
感染経路は限定的であり、日常生活では感染しません。

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